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理事長 山元 一

理事長からのご挨拶

国際人権法学会理事長(第12期)
山元 一

2021年12月に国際人権法学会理事長に就任した山元 一(慶應義塾大学教授)です。国際人権法学会は学際的な学術組織であり,多様なバックグラウンドをもった人々から構成されています。私の専門は,比較憲法学です。

そもそも,国際人権法学会は,世界人権宣言40周年にあたる1988年に設立されました。その趣意は,第一に,国際人権保障の国内的実施を実効的に実現するためには,国際法・国内法・実務家の緊密な協働作業が不可欠であること,第二に,一国における人権保障は,人々が世界の人権状況に絶えず目を配っていることによって担保されるものであって,世界の人権状況への関心と関与が不可欠であること,という二点を踏まえて,より系統的より学際的に,内外の連絡を密にして,情報や知識や研究や持てる力を交換し,研究者も実務家もともに,手を携えて学術活動を築き上げていくことが重要だ,と考えたことです。

このために,本学会は,年一回の研究大会の開催をはじめとして,主体的に様々な研究活動を行い,また会員の研究活動の支援をしています。具体的には,機関誌『国際人権』を刊行し,内外の学会および関係諸機関・諸団休との連絡や,内外の研究者,弁護士,その他の実務家間の交流の支援も行っています。最近の研究大会では,現在の内外の人権に関する極めて重要なトピックである,「刑事法と国際人権」(2019年),「出入国管理と外国人の人権」(2020年),「新型コロナウィルス感染症と人権問題」(2021年)をテーマとして取り上げました。さらに,2020年から2021年にかけては,この度のパンデミックの下で起きているアクチュアルな人権問題を究明するために「COVID-19と人権」フォーラムを定期的に開催しました。

大変残念なことに現在の世界では,人権状況が憂慮される状況が続いています。国内では,例えば,外国人の人権問題,ジェンダー平等に関わる問題,貧困問題などの深刻さが日常的に報道されています。また,世界では,難民危機,テロ,経済危機,民主主義の危機,環境破壊などさらなる困難な課題に直面しています。こういった状況の中で,様々の地域・国では,ポピュリズムを背景とする排外主義の伸長が見られ,このような動きが人権の価値を毀損し,人権の保護を軽視しようとする言説に勢いを与えています。他方で,日本では性的指向性の多様性についての理解がようやく以前よりは広がり,また世界に目を向ければ,Black Lives Matter や #MeTooの運動が広く共感を呼ぶなど,これからの人権の伸張に向けてグローバルに連帯をする動きがあり,希望が見出せないわけではありません。

こうして,本学会の使命と役割はますます大きくなっています。本学会は既存の学問的枠組ではうまくすくい上げることのできなかった問題に対して,国際人権法という光を当て,可視化してきました。これからも,学際的な研究を一層推進し,様々な学問的バックグラウンドを有する人々が有益な意見交換ができる開かれた場であり続けられるよう,さらに一層の努力をしていきたいと考えています。

このような学会の趣旨と活動内容に共鳴された皆さん,是非本学会に入会し,一緒に本学会の活動をつくっていきませんか。また既に会員である皆さんからは,アイディアや忌憚のないご意見をお寄せ頂けると幸いです。


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