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国際人権法学会設立趣意書(1988年)

本年 1988 年は世界人権宣言 40 周年にあたり、日本が国際人権規約に調印して 10 年になる。この 10 年の間に日本は国連人権委員会の委員国になり、差別防止・少数者保護小委員会に専門家を送り、国際人権規約人権委員会や女子差別撤廃委員会に委員を送った。また、国内においては裁判所その他で人権条約が援用されることも多くなり、いわゆる国際化とともに人々の「国際人権」についての関心も高まりを見せている。

国際人権保障の研究は、戦後の先駆的研究から難民問題研究などを経て若い世代に引き継がれ、国際連合等国際機関の実態や、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカの各人権条約の研究へと、国際法研究者を中心にして、裾野を広げてきた。しかし、国際人権保障の国内的実施の段階を迎えると、憲法その他の国内法研究者や法律実務家などの参加なくしては、多くの実りを期待できない。のみならず、一国における人権保障は、人々が世界の人権状況に絶えず目を配っていることによって担保され、世界の人権問題への関心と関与は、不可欠である。そのため、各種の情報を求めこれを伝え、普及活動を行うことも、これまで以上に必要とされている。また、世界の人権秩序の形成も、真に学際的研究によってこそ、その基盤が整えられる。

国際人権保障やその国内的実施さらに人権外交の諸問題は、これまで、国際法学会、公法学会、国際政治学会など関連学会等でそれぞれに研究報告としても取り上げられ論じられてきた。しかし、もはや個別学会や単発的な研究会・シンポジウム等では十分ではなく、今こそ、より系統的より学際的に、内外の連結を密にして、情報や知識や研究や持てる力を交換し、研究者も実務家も共に、一つのものを築き上げるべきときであると信じる。来年 1989 年は、ともかくも日本が近代的憲法をもってから百年になる。新しい時代に向けて、国際的なかかわりの中の人権を考えるため、われわれは、ここに、広く世人に訴えて、国際人権法学会を設立するものである。

1988 年 12 月 10 日


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