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2017年11月25・26日研究大会テーマ「沖縄/琉球と人権」/公募報告(2017年3月31日締め切り)のご案内


企画趣旨:「沖縄/琉球と人権」

近現代の日本史は,戦争と強者による支配によって鮮やかに彩られてきた。その中にあっても,沖縄/琉球は,本土と比べて極めて特異な地位におかれている。もともと独立王国としての500年にわたる長い歴史の歩みを続けていた琉球は,勃興期の帝国日本に併合され,沖縄県として編入された〔「琉球処分」による1872年琉球藩の設置,そしてそれに引き続く1879年沖縄県の設置〕。その後の帝国日本による沖縄/琉球に対する植民地的支配が及ぼされたが,帝国日本の最終局面1945年3-6月において,日本において唯一の陸上戦である沖縄戦が行われて,多くの人命が犠牲となった。第二次世界大戦後は,長期間の米軍統治時代を経て,1972年本土に復帰した。その間,沖縄/琉球は一貫して,軍事基地に多くの土地が覆われ,日米安保条約の下で締結された「日米地位協定」に基づいて駐留米軍が活動し,様々な重大な問題を住民との間に引き起こしてきた。
 このような沖縄/琉球をめぐる状況は深刻な法的事件や人権状況を生み出してきた。最近の事例では,米軍普天間飛行場の辺野古への移転をめぐって,国が埋め立て承認を取消した沖縄知事の対応を違法と訴えた「辺野古違法確認訴訟」の上告審判決(2016年12月20日)は,国の主張を容認するものであった。またこれまで同様の事件が繰り返されてきたが,2016年4月にも,沖縄の女性が米軍属による女性に対する性暴力によって生命を奪う事件が発生している。
 2017年度の国際人権法学会研究大会は「沖縄/琉球の人権」をテーマとして取り上げ,国際人権の見地から,戦争と強者による支配によって規定されてきたこの地域に改めて光を当てることとしたい。
 本企画では,上記の問題意識から,(1)憲法・日米安保条約体制の下での沖縄/琉球の地位,(2)沖縄における米軍犯罪と司法,(3)文化的多様性の保障と沖縄/琉球,(4)エスニックマイノリティーたる人民の自己決定権・自己統治権と沖縄/琉球,という,(5)沖縄における環境と人権,という5つの柱を設ける。
(1)の問題は,「植民地支配」という視座からの歴史学・政治学をはじめとして,国際法・憲法・行政法からの多角的な分析・検討が求められよう。(2)の問題は,理論面の検討と実際の事件の分析の双方からのアプローチが求められよう。(3)の問題については,例えば,ユネスコ文化多様性条約(2005年)やヨーロッパ地域言語・少数言語憲章(1992年)を踏まえつつ,分析・検討が行われることになろう。(4)の問題については,翁長現沖縄県知事が国連人権理事会でself-determinationへの権利に言及したことをふまえて(2015年9月21日),改めて,沖縄/琉球の問題を,国際法学が従来議論を積み重ねてきた自己決定権/自決権の主体の問題として,あるいは新たな自治の枠組の模索という課題を突きつけているものとして,受けとめる必要があろう。(5)の問題は,例えば「ジュゴン訴訟」に見られるように,米軍基地移設をめぐって,自然豊かな沖縄/琉球の環境が破壊される事例についてどのように法的に対処するか,が問題となる。
 本企画では,学会における議論の活性化ならびにEarly Career Researcher(ECR)支援という二つの目的から,上記のテーマのうち各論に関する報告を公募する(詳細については,次頁「公募報告募集(Call for papers)のご案内」を参照)

公募報告(Call for papers)のご案内
1. 趣旨
学会の活性化およびEarly Career Researcher(ECR)支援という二つの目的から研究大会における報告を公募します。
2. 実施要領
(1) 実施時期
2017年11月25日(土):2017年度国際人権法学会第29回研究大会1日目
会場:沖縄タイムス・タイムスビル 〒900-0015那覇市久茂地2丁目-2-2
TEL 098-851-5185 FAX 098-860-3606
(2) 応募資格
応募時及び報告時に国際人権法学会会員であること。
(3) 報告テーマ・形式
「沖縄/琉球における人権」における5つの柱に関する報告(詳細は前頁「企画趣旨」参照)。一人当たり報告時間15~20分程度(全体の質疑応答にも参加)。英語による報告も可(通訳はつきません)。
(4) 応募手続
応募者は、下記の内容を記載した応募書類(書式自由)を後掲(5)の電子メールアドレスに、2017年3月31日(金)(必着)までに送付して下さい。
① 氏名・所属・地位
② 連絡先(住所、電話・ファックス番号および電子メールアドレス)
③ 研究分野
④ 職歴・研究歴
⑤ 主要業績一覧(3点以内)
⑥ 国際人権法学会での報告歴の有無
⑦ 公募報告のタイトル(20字以内)
⑧ 公募報告の趣旨・概要(1500字程度。英語での報告の場合は500ワード程度)
(5) 応募書類の宛先
callforpapers@ihrla.org
*受領を確認次第、受領確認メールを送ります。数日たっても受領確認メールが届かない場合には、恐れ入りますが後掲(8)の連絡先にメールを送って下さい。
(6) 審査手続
企画委員会は、公募報告審査委員会を設置して、応募者から提出された応募書類に基づく審査を依頼し、その結果を踏まえて報告者を決定します。採用に際しては、報告内容に関する付帯意見を付すことがあります。採用の結果は、事務局から応募者に連絡します。
(7) 採用後の手続
採用された報告者は、研究大会3週間前までに報告原稿(Wordファイル又はPDFファイル)を上記の電子メールアドレス(callforpapers@ihrla.org)に送って下さい。提出された報告原稿は学会ホームページに研究大会の2週間前に掲載します。研究大会終了後、希望に基づきホームページから外すことができます。
(8) 連絡先
公募提出先のメールアドレス:callforpapers@ihrla.org
(事務局(北村泰三事務局長)および山元 一企画主任)


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