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2021年06月16日 第3回(通算8回)「COVID-19と人権」フォーラムの御案内(6月16日(水)17:00〜)


国際人権法学会会員各位
   いつもお世話になっております。国際人権法学会事務局です。 
   第3回(通算8回)「COVID-19と人権」フォーラムにつきまして,以下の通りご案内を申し上げます。 

   皆様,奮ってご参加下さい。
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第3回(通算8回)「COVID-19と人権」フォーラムの御案内

不可視の人権侵害を可視化する
Collaboration for Visualising the Invisible Decay of Human Rights (COVID-HR)

ユニット3: 日本社会

    昨今のパンデミック下における人権問題の数々は,現代の日本社会が擁する政府統治の質を問い返してやまない。今回は,この課題に,日本社会における「法治」/「法の支配」の過少という切り口から迫る企画とした。
   まず,昨今の日本社会における「法治」の過少は,「自粛警察」やSNS上の誹謗中傷に代表されるような,私的領域における「人治」あるいは「私治」の過剰を招いているように見える。そこでは,この社会を根深く蝕んできた差別問題をはじめ,日本社会の病理があらためて露出しているのみならず,それに対して,国際社会の趨勢となりつつある一般的差別禁止法や国内人権機関を設けることなく,啓発中心のソフトなやり方で済ませようとする「日本流」の対処の問題性も照射されざるをえない。
   また,「法治」の過少に冒されているのは,直接の行政に限られない。それは,立法の過少にも司法の過少にも具体的に現れ,ひいては日本における権力分立の過少(もしかするとその不在)にも再考を迫っているように思われる。立法では,COVID-19の政令指定による場当たり的対処に始まり,先般のおざなりとさえ言える行政罰追加に至る立法プロセスが実例である。司法では,日本社会における人権侵害をめぐって,ときに司法の独立さえ疑われるなか,日常的に裁判上の救済が不足してきたことは本学会会員に周知の事柄だろう。さらに言えば,日本におけるコロナ禍の幕開けは,唐突な司法機能の停止を伴っていたのである(本企画の北村弁護士報告参照)。
   以上の問題意識のもと,本ユニットのフォーラム企画は二部構成とし,第1部ではパンデミック下の日本社会の「法治」の現状について,「実務からの問題提起」を受けて認識を深め,続く第2部では「研究者からの問題提起」を受けて,両者の問題提起を交錯させながら,検討を進める。
   第1部は,前回フォーラムの問題意識を引き継いだ現場の実務的報告となる。日本社会を全体としてみれば,法が全面的な機能不全を起こしていないとしても,特定の領域においては法的規律が実質的に空白化し,権力の裁量が猛威を振るい,深刻な人権侵害を生み出す状況が現れてきている。「外国人」がターゲットとされる技能実習生・入管収容・難民認定等が,そのような領域にほかならない。さらに,法の支配の守護者となることが期待される裁判所自体,2020年春の緊急事態宣言発出とともに,裁判期日を次々と取り消し,日本社会において(迅速な)裁判を受ける権利が突如として制約を受ける異常事態も発生している。ここでは,それら現場の実相を明らかにするとともに,人権の法理がどうすれば規律密度の向上を推し進めることができるか,その諸課題を見据えたい。
   第2部は,研究的視座から,日本社会において「法治」の過少を克服するための諸課題を検討する。具体的には,「法治」の現場を左右する国家裁量について,国際社会のスタンダードを視野に入れてあらためて問い直す報告,さらに,憲法学ではしばしば「立憲主義」としてフォーミュレイトされてきた「法治」の日本スタイルを自覚的に追求しうるかを論じる報告を受けて,議論を行う。両報告を通じて,「法治」における「法」を明らかにすることが課題となろう。

           記

1. 日時:2021年6月16日(水)17:00〜19:00

2. 対象:国際人権法学会会員

3. 参加方法:オンライン会議(Zoomへのアクセス)

*Zoom のアクセス情報(リンク等)は開催数日前に本学会ML にて配信いたします。
*Zoom にアクセスする際には、お名前とご所属を表示してください。
*第3回につきましても会員の方を対象としておりますので、アクセス情報を会員以外の方や機関等へ転送・拡散することはご遠慮ください。もしもテーマに関心のある学生・院生・お知り合いの方をご存知で、ぜひお薦めしたいという場合には、事前に事務局までご一報ください。
4. プログラム
(1) 開会のあいさつ・企画趣旨(5 分)   理事長 江島 晶子(明治大学)
(2) 前半報告(40 分)                             司会:浦山 聖子(成城大学)
 第1部 パンデミック下の日本社会の「法治」の現状――実務からの問題提起
① パンデミックのなかで、法と権利、行政、外国人の生活(古屋 哲・大谷大学非常勤講師)
 ② COVID-19と司法アクセスの問題について(北村 聡子・弁護士)
(3)中間セッション(20分)                      *参加されない場合,第2部開始まで休憩時間 
ROOM Ⅰ [ディスカッション]
ROOM Ⅱ [会員交流]
ROOM Ⅲ [若手研究紹介]          進行:佐々木 亮(聖心女子大学)
 「COVID-19と教育を受ける権利―スペインの状況から―」
 (有江 ディアナ・世界人権問題研究センター研究員)
(4) 後半報告(40 分)                             司会:山元 一(慶応義塾大学)
 第2部 日本社会をめぐる「法治」/「法の支配」――研究者からの問題提起
 ① 日本社会における国家裁量――国際社会からの逸脱(福島 涼史・長崎県立大学准教授)
 ②「ゆるふわ立憲主義」と「法の支配」(曽我部 真裕・京都大学大学院教授)
(5)総括・全体討論(10分)

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